蒙が啓く(もうがひらく)、その1.

先週の定休日(3/6)は、
確定申告が迫っておりますので、
一日中書類とにらめっこ。

とりあえず下書きまでできたので、
休憩を兼ねて、近所のスーパーへ。

ちょっと前のヤガラの記事でもご紹介した通り、
このスーパーは新鮮な魚が豊富にあって、
珍しいものが並んでいる。
アオハタとかキジハタとかオオモンハタとか、
ハタ類もよく並んでいるので、
釣り道具屋としては、
売り場を見るのが楽しくてしょうがない。

さて今日は何が並んでいるかな?

わくわくしながら覗いてみますと、

おやまぁ!

北海道産の本ますなどと書いてありますが、
これ、絶対にサクラマスでしょ。
これは買うしかないってことで、
焼き物用に切り身にしていただきました。




さらに何かないか見ておりますと、

おやまぁ!

前回、失敗したヒラマサ様が、
またまた養殖として売っている。

これどうしようかなぁ?
実は1週間ほど前にも購入したのだけれど、
ヒラマサ感が全然なかった!

養殖のブリやカンパチと同じ味がしたので、
ヒラマサらしさが微塵も残っていない。
きっと同じペレットを使っているのでしょう。

今日は見送ろうかな?
しばらく迷っておりますと、
たまたまつい最近、
ご来店いただいたソルトの達人の言葉が、
フッとよみがえってきた。

”漬けにしたら美味しいですよ”

そこで小料理屋 ”みゆき亭” の女将に、
漬け汁がすぐにできるかどうか聞いてみると、

”大丈夫!”

自信満々の返事が返ってきたので、
買い物かごの中へ。



ところで話は変わりますが、
道具屋おやじが若かりし頃、
10年ほど会社員をやっておりました。

その時の社員旅行で、
九州方面へ釣れて行ってもらったのですが、
そこで出てきた天然のヒラマサの刺身が、
バツグンでした。

上品な脂が程よく乗っていて、
くどくないので、
いくら食べても食べ飽きない。
ブリやカンパチなど足元にも及ばない。

すでに釣り道具屋をやることを決めていたので、
魚に対しての多少の知識は蓄えていたのですが、
養殖技術が確立していないヒラマサについては、

”水産会社や仲卸の社長が食べるもの”
”一般には入手困難で食べることはできない”
”値段も高価!”

そんな話を聞いていたので、

ヒラマサは凄い魚だ。
養殖もできないから、天然物を食べるしかない。
商売を成功して、ヒラマサを食べれるように、
なりたいものだ。
などと固く決心するのでありました。

さて、素晴らしいヒラマサと巡りあってから、
すでに30年以上経過しておりますが、
残念ながらヒラマサを食べることができるほどに
成長はしておりません。
天然のヒラマサどころか、養殖のブリやカンパチが
精一杯の有様ですので、商売下手やわぁ~
自分の実力のなさを恥じる毎日ですが…。

先日、憧れのヒラマサ様が、
近所のスーパーに並んでいるのを見て、
飛びつくように買った道具屋おやじ。
しめしめ、ヒラマサが売っているなんて、
このスーパーやるじゃないと思っておりますと、

パッケージに、

”養殖物” と表示しております。

これは今回の養殖のシール
これは今回の養殖のシールですが前回と同じシールです。

アレッ?
ヒラマサって養殖できるようになったの?
いつの間に?

無知蒙昧の道具屋おやじですが、
釣り道具屋としては知らないと恥ずかしいので、
買い物バッグに養殖のヒラマサをいれて、
こそこそと人目を忍ぶように帰ってきました。

当方のご常連の家具屋の社長も、
ここに良くこられますので、
見られないようにとっと帰宅する羽目に…。

で、その日の晩御飯に刺身をいただいたのですが、
あれぇ?
これはヒラマサじゃないよね。
養殖のブリやカンパチと同じだよね。

30年前の素晴らしいヒラマサが幻に終わって、
がっくりするのでありました。

その2~3日後、
ご来店いただいたソルトの達人に、
ヒラマサ買ったけどうまくない、
などと話しておりますと、
漬けにすると美味しいですよと教えていただいた。

この時も道具屋おやじ、
漬けが美味しいなんて知りませんので、
自分の無知を恥じるのみですが、
それじゃぁ次回、もし売り場に並んでいたら、
絶対にチャレンジしてやろうと思ったのが、
今回、2回目の養殖ヒラマサです。

長くなったので、その2 に続きます。