嫁が夜逃げしたので…その1

朝起きてみると、
隣のベッドに寝ているはずの嫁がいない。

トイレかな?
と思って、
寝室の隣にあるトイレの気配を伺うが、
コソリとも音がしない。

水でも飲みに行ったのかな?
と考えて、
階下のキッチンの様子を伺うが、
ピクリとも動きがない。

しばらく待ってみたが、
全然戻ってこないので、
ひょっとして何処かで倒れているのじゃないか?
と心配になって、
居間や、台所、お風呂場ともう一つのトイレ、
巣立った子供達の部屋を覗いたのだけど、
やっぱり何処にもいない。

嫁の奴、ひょっとして夜逃げでもしたんやろか?
オイラに内緒の借金でもこさえて、
全部オイラに押し付けて、
自分だけ高飛びしよったか?

などと考えていると、
キッチンの電子レンジの脇に、
カップラーメンが幾つか積んである…

ゲゲッ、
これってひょっとして、
これで晩御飯を食べて下さい、
ということやろか?

バッキャロー!

こんなもん食わなくても、
晩御飯ぐらい作ってくれる愛人がちゃんといるわ~
さっそくA子に電話して…

などと考えているところで目が覚めた。

寝ぼけた頭で事の顛末を考えると、

そういえば嫁の奴、
二人目の孫を身ごもったばかりの娘が心配で、
様子を見に行くって言ってたっけ。
娘の旦那もインフルエンザに掛かってしまったので、
しばらく帰って来ないかも…
なんて言いながら、
大きなバッグを抱えていそいそと出て行った…
のを、ようやく思い出した。

というわけで、
今夜から嫁はしばらくいない。

鬼のいぬ間に何か悪いことしてやろ~
などと思ってはみたものの、
愛人どころかガールフレンド一人いないので、
悪いことも思いつかない。

しょうがないので映画でも見に行くか…

その2に続く