悪魔の囁き、その12。および腰作戦発動中。

今朝は早い時間に悪魔が来て、
精悍な顔つきでこう宣言した。

’これより、および腰作戦を決行する。
総員配置につけぇ’

あの、もしもし悪魔さん、
総員配置につけぇっていっても、
オイラしかいないんですけど…

’いやいや、
これはオヤジだけではなくて、
全国の有志に呼びかけている。
志を同じくする有志は、
何万、何十万といるはずだから、
有志の諸君、決起せよと呼びかけているのだ’

などというので、
なんだかちょっと大事になりそうだ。

で、そのおよび腰作戦って、
いったいどんな作戦だい?
って聞いてみると、

悪魔の奴、
よくぞ聞いてくれましたとばかりに、
ペラペラと喋りだした。

’愛知、岐阜、三重は、
5/15以降は自粛解禁になったよね。
それでも皆さん、外に出たい気持ちを抱えつつ、
行こうか止めようか、
うずうずしているんじゃないかい?’

まったく悪魔のいうとおりで、
オイラの所にも、
「行っていいですか?」
などと、たくさんの問い合わせがくる。

そこでオイラは、
自粛解禁になったからそろそろねぇ、
などと婉曲な表現で申し上げるのだけれど、
何かあると困るので、
ぜひお出かけ下さいなどと、
強く言うのは控えている。

’そこでだ、自ら範を見せるために、
オヤジのためにおよび腰作戦を考えた’

なんだか変なこと言い出したよ、悪魔の奴。
でも今日は早めのお出ましで、
時間はたっぷりとある。
ゆっくり聞こうじゃないの、
そのなんとか作戦。

と言ってみると、
わが意を得たりとばかりに、
続きを喋りだした。

’いいかい、
今回の作戦はこうだ。

とりあえず釣りに行って、
まずは地元の方の反応を見る。

いきなり釣り場に入るのではなく、
コンビに寄ったり、
ガソリンスタンドに入ったり、
あるいはラーメン屋さんなどの
食べ物屋さんに入ったりして、
自分が名古屋から来ていることを、
それとなく匂わすんだ。

そこで反応が悪かったら、
無用の争いは避けたほうがいいので、
低姿勢を貫いてすぐに帰宅だ。

最初の反応がそれほど悪くなかったら、
もう1箇所で地元の方の反応を確かめる。
ここでもあくまでも低姿勢を貫いて、
すぐに引き上げることが出来るように、
お金を使うときでもおよび腰。

名古屋ナンバーで申し訳ありませんが、
ちょっとお腹がすいたので、
入ってもいいですか?

などと、さりげなく他所から来て、
お金を使わせていただくことを
アピールするんだ’

えぇ、お金を使う時に、
そんな卑屈な態度はいやだよ。
と悪魔に抗議すると、

’馬鹿だなオヤジは…
お金を使うといっても、
卑屈な態度になることはない。

でも相手が売ってくれなければ買えないだろ。
今の状況は、お客様は神様じゃないんだよ。
そこでだ、お金を使う姿勢を見せて、
相手が嫌がることがなければ、
あぁ、これなら問題はないと分かるだろ。

それを2~3回でも繰り返せば、
釣りに行っても問題ないし、
むしろ地元の本音がわかるじゃないか。
そこでOKなら、
安心して釣り場に突撃だ。

けれども嫌がっているところへ、
無理やり押しかけて、
釣り場に入ることはしてはいけない。
だからあくまでも低姿勢。
危険を察知したら、
すぐに引き上げることができるように、
および腰で試してみるんだよ。’

なるほど、悪魔の作戦はだいたい分かった。
それじゃ明日(5/18)は定休日なので、
ちょっとだけ作戦を決行してみるか?

そういうと悪魔の奴、
にっこりと微笑んで姿を消した。

悪魔が笑うのも気持ち悪いけど、
いったいこの悪魔、
何を考えているのだろう?
正体が分からないだけに、
ほんと、不気味な奴だ。

でも、ちょっとは愛想があるかもね…

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-お断り-
この話はすべてフィクションで、
たまたま見た夢を綴っただけのことです。
外出をオススメしているわけではありませんので、
念のため。
なお、この物語は当分の間、続きますが、
すべて実在の人物、会社、組織とは関係ありません。
どうぞご承知おき下さい。