切腹仕り候、その3。宗教上の理由により。

手術が始まったのが夕方ちょっと前の15時すぎで、
特に問題もなく無事に終わって、
17時前には病室に戻ってきた。

さて、右のわき腹は7~8cm切られている。
痛くてとても歩けない。

病室にはトイレがあって、
それがすぐ目の前4~5mの場所なのだけれど、
そこまで歩いて行くのが非常に難しい。

手術が終わってから、
看護婦さんに無理やり歩かされたので、
ちょっと歩いてトイレの手前まで行ったのだけれど、
あまりの痛さに耐えかねてギブアップ。
すぐにベッドでウンウン唸ることになった。

オマケにお腹を切られると声が出なくなり、
何かものをしゃべろうとしても、
スカスカで音が出ない。

腹筋って、いろんなものを支えているのだと思ったけれど、
今は痛くて痛くて、とても腹筋様のご機嫌を伺うこともできない。

手術が終わってからしばらくして晩御飯になったが、
痛くて食べられないし、
おまけに大嫌いな豚肉が入った肉じゃがだったので、

”宗教上の理由により晩御飯は結構です”

などと看護婦さんに行ってみたのだけれど、
声が出ていなかったのか、それとも聞こえないふりをしたのか、

”ご飯は半分ぐらいは食べないと点滴外せませんよ”

そういって無理やり食べさせようとする。

これはまずい!

歩くのが痛いので、すぐ目の前のトイレに行けない。
できるだけトイレは止めようと思っているのだけれど、
点滴を外してもらわなければ水分が溜まってしまうので、
トイレを避けることができない。

”尿瓶があるから大丈夫よ”

そんな明るい口調で言われても、
若い看護婦さんに、年寄りの粗末なモノを見られたくもない。

しょうがないので、肉じゃがはあっちに行ってもらって、
ご飯だけ半分ほど食べて許してもらった。

同年代の皆様は、食べ物を粗末にするなと
教育を受けておられるはずだから、
出されたものはすべて食べると思います。
道具屋おやじもめったに残すことはありませんが、
この時ばかりは半分以上、晩御飯を残してしまった。
作ってくださった皆様、本当に申し訳ございません。

なお、肉じゃがの豚肉は見たくもないので、画像はなしです。

晩御飯が終わったら、もうやることがない。
といっても痛みが酷いので、本も読めず、携帯も触れず、
ただただ寝転がっているだけ。
寝返りを打つこともできずに翌朝を迎えた。

夜中に一度だけトイレに行ったのだけれど、
これがまぁ、決死の覚悟で行かねばならないという、
大変な作業でした。

そのため、

”絶対に水分はとらないぞ”

固く心に誓うのでありました。

朝ごはんも食べたくなかったけれど、
配膳してくださるかたがこれまた明るい声で、

”朝ごはんですよ~”

といってくださるので、
ついつい いただきますと言ってしまった。

お膳の上を見ると天敵、牛乳が並んでいる。
道具屋おやじは牛乳も大嫌いで絶対に飲まない。

これも残すとまた怒られるかなと思ったのだけれど、

”あまり水分を取るとトイレに行きたくなるので、
痛くて歩けないから止めときます”

そういったら許してもらえた。

朝ご御飯が済んでしばらくしたら、
昨日、手術をしてくださった担当医の方がこられて、

”傷口は綺麗ですので、今日の退院で大丈夫です”

そうおっしゃられて、ようやくここから出ることになった。

あとはいろんな書類にサインして、会計を済ませるだけ。
さて、どれぐらい請求が来るのだろう?
びくびくしながらお勘定の書類を待っておりますと、
6万円ぐらいだったかな。
なんとか払える金額だったので、ホッとした。

けれども、もうすぐ毎年恒例の消費税を払わなければならないので、
できるだけキャッシュを使いたくない。

会計の窓口で、

”カードの分割払いはできますか?”

”エイデンさんでパソコンやテレビを買う時は、
いつも20回払いの分割にしてもらっているのですよ”

などと聞いてみると、

会計窓口の美人のお姉様は、

”もちろん大丈夫ですよ”

そういってにっこりとほほ笑んでくれたので、
まるで女神様のように見えたのでありました。

常連の皆様、中村日赤はカードの分割払いOKですよ。
庶民の味方ですので有難いですね。

無事に会計を済ませたら、
溜まった仕事を片付けに店に行ったのだけれど、
すぐに酷い痛みが襲ってくるので、
とてもじゃないけど仕事にならない。

今日はやはり臨時休業で勘弁してもらおう。
店の入り口に張り紙をして、
嫁の運転で帰るのでありました。




切腹仕り候、その2。いい眺め。

12月の半ばぐらいから始まった右足の付け根の痛みは、
年を越して1月になっても全然直らない。

それどころか、
たまに痛みがひどくなると、
立っていたり、歩いたりすることも辛くなるので、

これはまずい!

そう思って近所の掛かりつけのお医者のところに行ってみた。

ひととおりオイラの話しを聞いた先生は、

”たぶんヘルニアかも?”
”けれども膨れていないし、そもそもヘルニアだと痛みもないので、
ちょっと様子見しましょう”

そういって取り合ってくれなかった。

ネット上でいろいろと調べてみると、
確かに、鼠経ヘルニアはぷくっと膨れてくると
記載されていることが多いけれど、オイラは全然膨れていない。
しょうがない、症状がはっきりして、
もう少し膨れてくるまで待つことにした。

けれども、やっぱり右足の付け根が痛い!

痛みが酷いと歩けなくなってしまうこともあるので、
ネットで評判のいいクリニックを探して、
店の近所の ”かんやまクリニック” さんを訪ねてみた。

初めてのドクターはどんな方なのか、
ドキドキ心配していたのだけれど、
温厚で穏やかな方なので、
オイラも嫁も、

”手術していただくならぜひこの方にお願いしよう”

そう思っていたのだけれど、

”たぶんヘルニアだと思うけれど、
もう少し症状が進むまで待ちましょう”

となってしまった。

ヘルニアだと患部が膨れてくるのだけれど、
オイラの右足の付け根は痛いだけで、
全然といっていいほどに膨れてこないので、
なかなかヘルニアとは言い切れなかったのかもしれない。

いったんはそれで帰宅したのだけれど、
そのあとはどんどん痛みが増してきて、
仕事にも差し支えるようになってしまったので、

1週間後にもう一度、クリニックを訪ねると、
中村日赤に行くことになって、紹介状を書いていただいた。

ぜひこのクリニックで手術をお願いしたかったのだけれど、
オイラはアスピリンショックがあるので、
日赤のほうがイイでしょう、ということになってしまった。

中村日赤で見ていただくと、
エコーを撮っていただいたら、やはりヘルニアがあるとのことで、
すぐに手術していただくことになった。

ここで、2通りの手術方法を説明していただいて、
基本的にはヘルニアが出てこないようにメッシュで
穴を塞ぐのだけれど、

1-昔からの切開法、1泊2日の入院
2-腹腔鏡で3か所穴をあける 3泊4日の入院
の二通りをご提案されて、
どうしようか考えておりますと、

”そういえば当方ご常連の岐阜の名医、
T先生も切開でおやりになったとおっしゃっておられたっけ”

切開のほうが体への負担が大きいけれども、
1泊2日の入院で済むのなら、
すぐに仕事に復帰しなければならないオイラとしては、
こちらのほうが有難い。

そう思って日赤の担当のM先生に、

”切腹仕り候”

などと申し上げて、
3/24にやっていただくことになった。

さて当日、
入院手続きをひととおりすんで、
手術は15時過ぎなので、
それまでの時間を過ごすのに、
ベッドの上に寝転がっているのも退屈だ。

そこで院内を探検しようと思って
患者用の食堂のようなスペースに行ってみると、
ここは11階なので、外の眺めがとてもいい。

東海豪雨で大きな被害を受けた時も、
心臓がおかしくなって日赤に入院したことがあったけど、
その時も、特別室しか空いていなかったので、
建て替える前の建物の一番上の部屋に入院して、
外を見る景色が素晴らしかったなぁ。

この時はアスピリンショックが酷くて、
呼吸困難やら、蕁麻疹やらいろいろ出たけれど、
何とか乗り越えることができたなぁ、
などと過ぎた昔を振り返るのでありました。

幸いにも、東海豪雨の酷かった被害も、
多くのご常連のおかげで立ち直ることができたけど、
今回もそうなってくれるといいねぇ、
などと思っておりますと、
順番が来たようで、名前を呼ばれて手術室に向かうのでありました。




切腹仕り候、その1。きっかけは猫?

昨年の12月半ばに、常滑に大きな猫を見に行った。

常滑のデカ猫
常滑のデカ猫

常滑は焼き物で有名で、
こんな大きな猫を、一体どうやって作ったのだろう?

そう思って見に行ったら、
これは焼き物ではなくハリボテだったけど、
それでも猫好きのおいらとしては充分に面白かった。

そのあとは定番の散歩道を歩いて回ったのだけれど、
まぁ常滑は坂が多くて、歩き回るのはなかなかしんどい。
もともと登り窯でも有名な場所なので、
坂が多いのはしょうがないのだけれど、
途中から右足の付け根が痛くて歩けなくなってしまった。

空港に行って何か食べようかと思っても、
足が痛くて歩けない。

これはさっきの大きな猫の祟りやろか?
それとも坂道を歩き過ぎたせいで、
年取った体が悲鳴を上げているのやろか?

傷む右足をさすりつつ、
何とか車に乗って帰ってきたのだけれど、
まさかその時は大事になるとは思いもよらなかった…。