ショーケースのフライがすっからかんで、
朝の3時に起きて、
せっせとフライを巻いておりました。
ケースはたくさんありますので、
ちょっとやそっとでは埋まりません。
ふっと気が付くと、
店の開店時間を過ぎておりましたので、
あわてて準備して、
グダァーとイスに寝転んで、
”今日は疲れたなぁ。
こんな日は早く帰って酒でも飲もうっと。
美味しいお酒とおつまみが降ってこないかな”
などと都合のいいことを考えておりますと、
常連のFさん登場。
手には白い袋をぶら下げております。
”おやおや、ご褒美が来たかも。”
さっそく中を開けてみますと、
シンプルな瓶に入ったお酒と、
ロバのパンが2個入っております。
このお酒が凄かった。
Fさん、美味しいものを見つける嗅覚に優れており、
前回の三千盛の冬濁りも、
Fさんが見つけてきてくれたものですが、
今回のお酒も、それに匹敵するもの。
醸造元の百春さんのHPを覗いてみますと、
その日の朝に絞ったものをそのまま瓶に詰めて、
ご予約の方に販売しているとのこと。
今回のFさん、長良川の状況が好ましくないため、
すぐに釣りモードからお買い物モードに切り替えたところ、
釣り場に近い岐阜県美濃市の蔵元、
小坂醸造さんのこの銘酒を、
何と!
予約なしで手に入れることができた!
ということで、
この瓶を拝見した時、
普通のお酒のようにきちんとした栓がなかったので、
ちょっと変わっているなぁ~と思ったのですが、
その日の朝の搾りたてをお客様にお渡ししているわけですから、
しっかりとした栓は必要ないわけでした。
なるほど。
パッケージにはいろいろ書いてあり、
”無濾過” いいぞ~
”朝しぼりたて” すげぇなぁ~
”オリがたまることがありますが”
やったぁ、オリ酒だ。
発酵が止まってないので生きてます。
これは期待できますぞ。
というわけで、店の営業中も気もそぞろ。
お客様が途切れたのをこれ幸い、
早めに閉店して家に帰ってきました。
さっそくテーブルの上に並べて、
まずは一口ごくり。
フルーティな味わいが、
口いっぱいに広がります。
とっても美味しいお酒です。
ラベルの内容も、
HPの内容もまったくそのとおり。
飲み込むのが惜しいほどの出来栄えです。
ちなみにこのお酒。
おつまみは必要ないほどで、
ただただ、グビリグビリと味わうのに向いております。
この日、テーブルに最初に並んだおつまみは、
Fさんから頂戴したロバのパンの蒸しパン、
アトランティックサーモンの塩焼き、
もやしの茹でたもの、
白菜の漬物などでしたが、
どれも薄味だったので、
このお酒の良さを損なうことはありませんでした。
ところが、
ひととおりおつまみを食べてから、
焼き鳥とかキムチとか、
味の濃いものがでてきますと、
せっかくのフルーティな味わいが飛んでしまいましたので、
このお酒の繊細さに、濃い味はあいません。
オススメは、
おつまみなしで飲み続けるか、
白菜の漬け物のように、
薄い味のものがオススメです。
美味しい豆腐に、
何もつけずに食べるのもいいかもしれません。
美味しい豆腐を食べる時に、
”醤油にくぐらすと、味を邪魔する”
などという方もおられますので、
ただただ素材の良さを味わう時には、
とても向いているお酒でしょう。
Fさんのおかげで至福の時間を過ごしました。
ロバのパンにも久し振りにお目にかかりました。
御馳走さま~