アワセるな!2013/11/25


今シーズンのローカルリバーは、昨年度よりもずいぶん難易度があがっているようで、

去年と同じようにあっさりと通常のウェットフライで釣れることもありますが、
どうしたことかまったく魚の気配が消え失せて、
過去に効果のあったウェットフライをことごとく無視してしまう。
しょうがないので、底を釣るタイプのフライを流してみると途端に魚の反応が出てくる、
そんなことがしばしばあります。

どうやら魚はいないわけではないのだけれど、
人気が出てたくさんの釣り人が押し寄せるので、スレてしまったのか、
それとも流れがさらに浅くなってしまったので、怯えて水底から出てこないのか、
理由はわかりませんが、いずれにしても底を釣らないと、釣果が出ない日が目立ちます。

そこでここ何回か、底を釣るために重めのビーズヘッドを仕込んだフライをテストしているのですけれど、
これがなかなかの問題児、思ったほど釣果が伸びてくれません。

底を流せるようになってからは、ずいぶん魚達の反応が良くなったのですが、
フライが重くなると、どうしても根ガカリが多発してしまいます。
また底を釣るせいでフライのポイントが傷みやすいのか、ヒットしてからのバラシも頻発。

あまりにもバラシが続くので、フックの形状をワイドゲイプのタイプに変えてみたのですが、
そうしたところで全くの進展なしで、相変わらずバラシに悩まされる日々が続いております。

そろそろ煮詰まってきてしまったので、何か良いフックはないかと思っていたところ、
たまたまティムコさんが、ポイントが上に向いているTMC403BLJの#8サイズを出してくださったので、
さっそくこれを使って、ウーリーバッガーをヨーロッパスタイルで巻いてみました。

で、結果はどうだったかというと、前々回は1匹ヒット。
ヘッドに重めのビーズをセットしてありますが、根ガカリがほとんどなくなってしまったので
テスト結果としては上々の滑り出し。
これに味をしめてもう一度行ってみると、11/18はなんと4連発バラシ。

そのうちの2匹はたいしたサイズではありませんので、バラシてもそれほど気になりませんが、
問題は残りの2匹、どちらもなかなか良いサイズでした。

バラシた最初の1匹は、朝イチでポイントに入ってすぐにヒットしたのですが、
なんとこの魚、ヒットしてから上流に向かってきた。
で、こちらに向かって走って来てから、ヒョイッと向きを変えたところでフッと軽くなってしまった。
上流に向かってきて方向転換してからのバラシは、良型をロストするときの典型的なパターンですので、
ある意味しょうがないと思っていたのですが、問題はその後で、

3時間ほどポイントを休ませてもう一度チャレンジしてみると、今度は別の魚がヒットした。
この相手、すぐに下流に向かって走っていったので、
あぁ、これなら大丈夫だと思っていると、数回ファイトを繰り返した後で、
ロッドティップがまたもやフッと軽くなってしまった。
通常パターンですとバラさないヒットの仕方でしたので、これはショックでした。

気力が萎えてしまったので、そのまま引き上げることにして、帰りの車中は一人で反省会をすることに。

1-フライの流し方は悪くなかったか?
                       フライ先行で流していたので、それほど悪い流れかたはしていない。

2-ポジション取りは良かったか?
                          相手が神経質になっているはずなので、できるだけ離れて釣っていた。

なかなかバラシの原因が浮かんでこない。

3-アワセはいれた?
               エッ、アワセ? さて、アワセたやろか?

通常のウェットフライですと、フックが軽いので、ちょっと右手が動けばアワセが効きます。
ですから、ウェットフライを使ってアワセで悩むことはほとんどなかったのですが、
重いフライを使う場合、魚が違和感を感じて、すぐに吐き出してしまうことも考えられますので、
ウェットフライを使う場合よりも、しっかりとアワセをいれたほうがよろしいのとちゃうやろか?
重いフライの場合、アワセてないとちゃんとフッキングしていないので、
ファイト中にバレてしまうのではないやろか?

というわけで、次回のテーマはきっちりとアワセをいれる、ということになりました。

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11/25の定休日は、朝の6時にローカルリバーの最上流ポイントに到着。
あれこれ考えて、朝の3時には目が覚めてしまった、今日こそ結果が出るとよいのですが...。

流れを見回すと、先週よりも減水していたので、



今朝はスコットのT3H 1064/4+スカンジコンパクトの270grの組み合わせ。
それほど沈める必要はありませんので、リーダーはシンキングリーダーではなくマキシマの3Xを直結。
使うフライはずっとテスト中の、 #8 ウーリーバッガーESのブラックを先端にセット。
ESとはヨーロピアンスタイルの略で、別名チェコバッガーと呼んでおります。
余計な心配が増えるとまずいので、今日はドロッパーは使わないように決めております。

このシステムで7時ちょっと前から釣り始めて、瀬の頭から1歩づつ釣り下っていきます。
減水しているので、できるだけ慎重に、
不用意に水面を打たないように、オーバーヘッドのキャスティングも混ぜながら下がって行きますと、
流れが緩くなったあたり、前回はここでバラシたなぁという付近で、フライの流れ方にちょっと変化が..。
そこで次のキャストでもう一度同じポイントを流してみると、ゴツッときた。
今回はしっかりとアワセることを肝に命じていたので、
考えるよりも早く右手が動いてくれた、ロッドにズシッと重みが乗る。

アワセのタイミングとしてはベストなので、これは大丈夫でしょう。
しばらく周辺を走り回っていた相手が、だんだん弱くなってきたので、すぐにネットを取り出してそのままネットイン。
こんなニジマスでした。



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ひととおりこのポイントを試したあとで、今度はローカルリバーで一番の人気ポイントに向かいます。
このポイントは流れの中でテトラが数個鎮座していて、
そこに魚たちがつくのだけれど、
テトラからテトラまでの距離が短いため、普通にキャストしていたのではすぐに根ガカリをおこしてしまう。
根ガカリして、ドロッパーもリードも一発で取られてしまったら、泣くに泣けません。
キャスティング難易度は大したことないが、流し方が難しい。
根ガカリ連発で、過去にフライボックスの中身を全部進呈したこともあります。

ポイントに到着して準備していると、あいにく風が強くなってきたので、
ロッドをスコットのL2H 1106/4 にチェンジ。
ヘッドはレイジコンパクトの360grで、リーダーはマキシマの3Xを直結。
使うフライは、さきほどのブラックからオリーブに変更。
ローカルリバーで一番の人気ポイントですので、皆さんが良く使うブラックからオリーブに変えてみました。
当然ドロッパーは使わずに、リードフライ1本だけでチャレンジしてみます。

このタックルで頭から流して行くと、最初のテトラは不発。
2つ目のテトラにフライを送り込んで、ラインが流れに乗って良い形になったので、
ここで出るかと待っていると、コツンと微妙な感じが伝わってきた。

石かな、魚かな、とりあえずアワセてみるかと右手が動き始めたところで、
突然、頭の中でもう一人の自分の声が小さく響きわたった。

” アワセるな!”

その声にびっくりした右手の動きが止まって、アワセることなくそのままフライを流す。
ちょっと下流にフライが流れたところで、ググッと生命反応が伝わってきた。

やっぱり魚や、
慌ててロッドティップを跳ね上げると、バシャバシャと良型が水面に出てきて、
しばらくファイトしてからハズレてしまった。

あぁ、せっかくの魚がバレテしまった、残念無念と悔しがっていると、
頭の中でもう一度自分の声が鳴り響く。

”やっぱりバレて、おめでとう!”

お、おめでとうって、いったい何を言いたいのだろう?
魚をバラシておいて、おめでとうって?

冷静になって考える。
今のコツンはやはりアタリだった。
このポイントは根ガガリ連発ポイントなので、
根ガカリが怖くていままでは聞きアワセ程度のアワセしか入れていない。
根ガカリでしょっちゅうフライをロストしていたので、それはしょうがないところ。
けれどもフックの形状が変わったので、もうそれほど根ガカリの心配をする必要はなくなった。
ということは、何か変化があった場合には、明確にアワセを入れても大丈夫だろう。

もう一人の自分がアワセるなといったのは、アワセなければどうなるか確かめてみたかったのかも。
で、アワセなければバレテしまうのが確認できたら、
このフライを使う時には、通常のウェットフライを使う時よりもしっかりとアワセることができれば、
ずいぶんバラシが少なくなるに違いない、ということか...。

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しっかりとアワセることができればどうなるか、それを確かめるために次のポイントを目指す。
このころからフロントガラスには、ポツリポツリと雨の滴が落ちてきた。

おやおや、待望の雨じゃないか、これできっと相手は警戒を解いているだろう。
今朝の天気予報だとお昼位にまとまった雨量になるようだから、本降りになる前に勝負したいものだ。
けれども焦ってはいけない。焦って行って大きな物音を立ててしまったら、元も子もないので慎重に行こう。
車を止めて、余分な音を立てないようにゆっくりと河原を歩きながら、ポイントの上流部を目指す。
流れに立ちこんだら摺り足で、できるだけ底石を動かさないようにして、ポイントまでの距離を詰めていく。

瀬頭に立って、さきほどのタックルをそのまま使ってじっくりと流す。
ワンキャスト、ワンステップダウン、ウェットフライの常套手段で釣り下がる。
それは5投目か6投目だったか?
対岸に投げたフライが流れにつかまって、ゆっくりと下流に流れ始めたところで、グイっと来た。

”アワセろ!”

もう一人の自分の声が頭の中で大きく響く。
アワセろと言ったりアワセるなと言ったり、忙しい奴や。
などと考えるまでもなく右手が動いて、ズシッと嬉しい重みが伝わってきた。
タイミングは完璧だ、あとは何処に掛かったのか心配だが、
掛かりどころが悪くなければバレナイだろう。

しばらく強い引きで瀬の中を走り回っていた相手が、やがて疲れて手元まで寄ってきた。
ちょっとロッドティップを上げて掛かりどころを確かめてみると、
しめしめ、ベストポジションに掛かっている、これならバレナイだろう。

テンションを緩めてもう一度走り始めた相手が、そのうちに疲れて寄ってきた。
チャンスを逃さずにネットを入れると、相手は綺麗な魚体のホウライマス。
ヒレの整った素晴らしい相手でしたので、
大型のヤマメかアマゴじゃないかと思ったほど。
体の厚みも素晴らしく、ついつい見惚れてしまいました。

こんな立派な魚を用意してくれた地元のメンバーの皆様には、
深く感謝申し上げたいと思います。



というわけで、
深いタナを釣る場合に、根ガカリもバラシも多発して困っていたのですが、
ようやく今回で光が見えてきました。

素晴らしい魚がいる三重県のローカルリバー、まだまだ通いますよ。