お久し振り 2011/08/08
川の流れというものは、しょっちゅうその表情を変えております。
大きな出水で渕という渕が埋まってしまったり、
あるいはその逆に、強い流れの勢いで、底が掘れて大きなプールが出来たりすることもしばしばあります。
オールドファンにはお馴染みの宮川支流小鳥川には、
かって、おにぎりプールという有名なポイントがございました。
40cmクラスのイワナをモンカゲのドライやニンフで狙える素晴らしい釣り場でしたが、
度重なる出水ですっかり埋まってしまいました。
25〜6年ほど前に良く通ったポイントですが、
埋まってしまってからは、初恋の人の衰えた容姿を見るのがイヤでトンと足が向かなくなりました。
それとは逆に、何年経っても魅力が褪せない川もありまして、
35年前から通っている好きな川の一つ、富山県の庄川の大きな支流。
尺イワナで有名な河川ですが、
ここは崩落しやすい地質ですので、すぐに流れの表情が変わります。
この川は6月過ぎがベストシーズンですので、今年の6月、半ばごろに行ってみますと、
驚いたことに、数年前に埋まってしまったプールが復活しておりました。
このプールはその昔、相当数の尺イワナを釣り上げた大事なポイント、
あいにくまだ尺イワナは入っておりませんでしたが、往年の名ポイントの復活は本当に嬉しいものでした。
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さて、岐阜県の庄川のあるところに、
おにぎりプールと同じように、尺イワナを量産するプールがございます。
それを仮に尺イワナプールと名づけますと、
この尺イワナプール、毎年かならず5〜6本は尺イワナをゲットできるという、ありがたいポイントです。
今年はまだ尺イワナを量産しておりませんので、久し振りに尺イワナプールに行ってみるかと思い立ち、
8/08のイブニングはここを目指しました。
ところが、
現地についてガックリ、なんとプールがない。
相当量の出水があったのでしょう。何処もかしこも土砂で埋まっております。
ポイントはすべて潰れておりました。
それでも諦めきれずに釣ってみたのですが、25cmクラスのイワナが4〜5本の釣果。
このプールの実力はこんなものではありませんが、しょうがない。他のポイントを試すことにしました。
さっきから、シャワーのような雨が続いていて、時折、雷もゴロゴロといっておりますので、
半分、腰が引けたままの転戦となります。
雨模様なら、御母衣のダムから大きな奴が差してくるかもしれないと思って、
牧戸まで戻って本流を覗いてみますと、これはまた酷い、ドロドロに濁っております。
さきほどからの雨のせいで、本流も支流も真っ黒に濁ってしまいました。
でも諦めきれませんので、何処かに濁りの薄い場所はないか探しておりますと、
幸い、いつもの渓の下流部が、ちょっとだけ濁りが薄くなっております。
時刻は夕方の4時半過ぎ、もう転戦はできませんので、覚悟を決めてこの渓におりました。
流れはこんな感じで、まだ濁っております。
水量も通常より15cmぐらいは増えておりますので、まぁドライフライには向いていない状況です。
けれども、なんとなく閃くところがございましたので、いつもの #13 キハダ をティペットに結んで、
流れの脇の緩い場所、普段なら水がなくて、フライなど決して投げることのない場所を狙って釣り上がっておりますと、
これが結構イワナ達の反応が良い。
イワナ達は、久し振りの出水で、はしゃいでいるのでしょう。
20cm前後のイワナがポイントごとに出てくれますので、
そのまま釣りあがることにして、1時間ほど過ぎた頃...
やはり流れの脇、いつもなら水がない浅い場所にフライをポンと置いてみますと、
にぎり拳ぐらいはあるイワナの頭がぬっと出て、パクリとフライをくわえました。
激闘数合、などと餌釣りの方の大物ヒットシーンで使われるフレーズがございますが、まさにそんな感じ。
まさかそんな大きな相手が潜んでいるとは思わなかったので、
なんとかネットにねじ込んで、メジャーをあてますと...40cmちょうど。
普通に写すと魚体が下に曲がりますので、こんな画像で精一杯ですが、
左手を魚体に添えて、右手で写してみますと、
やはり大きく見えますね。
ドライフライで40cmを越えるイワナをゲットしたのは、久し振り。
本流の濁りを嫌って、支流に差してきた大物でしょうか...。
メスでしたので、お腹の中にはすでに卵の気配があります。
体力を取り戻すまで、しばらく流れの中で支えてから、動き出すのを待ってそっと指を開きますと、
何事もなかったかのように、王者の風格で堂々と帰って行きました。
で、これでもう帰ってもよかったのですが、
なんだかまだイワナ達が、おいでおいでと言っているような気がしましたので、
あと5分だけ延長することにして、
また同じような流れの脇を流しておりますと、
もう1匹おりました。
これもメス31cm。
続けて尺イワナ2本は上出来です。
このイワナも無事に流れに戻るのを確認して、本日は納竿です。