ちょっとピンボケ
2009/06/08


何かの折に棟方志功さんの作品を拝見すると、ざらついた心がホッと和みます。
なかでも、こんな女性のふっくらとしたほっぺを見ますと、
ついつい、つんつんとつつきたくなってしまいますが、同じような衝動に駆られる方も多いことでしょう。
こんな女性がいたら、きっとずいぶん惑わされることだろうなぁ、なんてね。



ところで、棟方志功さんは極度の近眼で、
晩年には片方は失明で、残りの片方も殆ど見えなかったそうですが、
それでも版木に目を近づけて、食いつくようにして掘っておられる姿を拝見しますと、
芸術家の執念というか、自分の道に賭けた心意気の凄まじさを、まざまざとみせつけられてしまいます。
目で見ることが難しくなったとしても、きっと心の眼で見ておられたのでしょうね。



自分の歩く道に、オイラはここまでのめり込んでいるだろうか?
などと考えますと、まだまだ甘いなぁと反省させられることしきり。
けれども、だんだん老眼が進んで、フライを巻くことがしんどくなってきましたので、
ポーズだけは棟方志功さんをきどって、バイスに食いつくようにしてフライを巻いているのですが、
カッコ悪い姿ですので、あまり人にはみせられません。
お客様が途切れた時にこっそりフライを巻くのですが、
ご注文の急ぎのフライを巻いている時に限って常連がやってきますので、
彼らにこんな姿をみられるのが恥ずかしくて、すぐにタイイングの手を止めてしまいます。
当方の完成品フライのボックスがちっとも埋まらないのは、こんな理由があるからなんですねぇ。
完成品フライを待っておられる方も大勢おられますが、ホントに申し訳なく思っております。

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さて、石に化けたイワナを何としてでも釣るつもりで、またまた庄川にやってきました。
馴染みの谷は20cmほど渇水しており、岩に白い跡がたくさんついております。
雨が待ち遠しいところですが、まぁオイラは夕方しかやりませんので、渇水はあまり関係ありません。
前回同様に、夕方の4時半ぐらいから釣り上がって行きまして、
遅い時間帯ですので、さすがに渇水も関係なく、25cmぐらいのイワナが10匹ほど出てきました。
とりあえずイワナの顔をみればOKで、後は陽が沈むかけるのを待つばかり。
勝負は6時半ぐらいからでしょう。
まずはリーダーを新品の5Xに交換して、
イブニングの大物用パターン#13キハダにはたっぷりと浮力材をふり掛けて、
あとは相手が石から魚へ戻るのを待つばかり。
やがてポツリポツリとライズが始まりましたので、
頃合をみて、さぁ晩御飯ですよとフライを差し出してみますと、一投目であっさりヒット、
30cmちょうどのオスイワナでした。

まだ早い時間帯でしたので、
もう1本出るかと思って、慌てて記念撮影を済ませて、再度流れに立ちこんだのですが、
残念ながらヒットは続かず、今回はこれのみ。

でも、まぁまぁの魚が釣れたし、今日はこれで良いかと思って引き上げてきたのですが、
車に戻ってイワナの画像を確認するとガックシ、ピンがありませんでした。



先輩の皆さんはよくご存知ですが、
老眼が進むとメガネを外して見たほうが、近距離は良く見えます。
そのためいつもは写真を写す時に、そうやって確認しながらシャッターを押していたのですが、
今回は美味しい時間を逃すのがもったいなくて、あせってシャッターを押してしまいました。

見ることが適わなければ心眼で見ろ、先達の芸術家の声が聞こえてきそうでした。

ピンがある写真を撮りに、来週もいかなくっちゃね。
キャパのようにうまく撮れますように...。